流れ星日記1009で、映画のご紹介をして
「レビューを書きますね」と書いてしまった『隣る人』。
もともと、何らかの事情で保護者と暮らすことのできない子どもたちの
生活の場として、1985年から運営されてきた
小舎制の児童擁護施設「光の子どもの家」を、
刀川監督が8年をかけて取材した、ドキュメンタリー映画です。
すごく温かい眼差しで丁寧に作られた、期待以上の映画だと思いました。
自分が子どもとして、家族と過ごしてきた経験と、
その後、親として子どもと暮してきた経験の、どちら側もが共鳴し、
さまざまな感情が去来して胸が苦しくなる場面が、何度もありました。
多分、あんまり上手くレビューを書けそうもないので(ゴメンナサイ)、
わたしが映画パンフレットの中で、とてもいいな、と思った、
芹沢俊介さんのレビューを、引用させていただきます。
子どもは誰かと一緒のとき一人になれる。
ウィニコットの名言だ。
ここでいう「誰か」は誰でもいい誰かではない。
特定かつ特別の誰か、自分だけの受けとめ手のことである。
子どもにとって、そのような「一緒の誰か」のいることろだけが家族である。
そして子どもは「一緒の誰か」がいれば、ひとり、生きてゆける。
よるべなき子どもたちに自分を差し出し続ける
「光の子どもの家」のこうした養育のいとなみを、
刀川和也は、哀しいばかりに美しい映像として掬いとった。
芹沢さんの著書は、何冊か拝読しているのですが、
刀川監督がこの映画を撮るきっかけとなった
『「新しい家族」のつくりかた』は
関心を持ったまま読んでいなかったので、
また、ぜひ読んでみようと思いました。
映画は、名古屋ではシネマテークで8月10日まで。
お時間のある方は、ぜひご覧いただけると嬉しいです。
それから、さらに深くご関心を持ってくださった方には、
さらにパンフレットも、おすすめです。
船橋邦子さん(現在和光大学、城西国際大学大学院非常勤講師、
NPO法人女性と子どものスペース・ニコ代表)、
芹沢俊介さん、佐藤忠男さん(映画評論家)の寄稿文に、
刀川監督と「光の子どもの家」理事長の菅原さんの対談など、
読み応えがあって考えさせられる文章が、たくさんあります。
舟橋さんの文章も、まさにジェンダーの視点での
深い洞察に基づいたレビューで、ここに全文を引用したいほど。
ご自身の、仕事と子育ての両立の経験を引いて、
「言い訳のように聞こえるかもしれないが女性の生きづらさと
子どもの育つ環境は無関係ではない」以降の文章など、
わたしは、思わず共感に涙腺がゆるみました。
そうそう。流れ星日記1009を読んで、
『隣る人』に、足を運んでくださった方がいらっしゃいました。
すごく、嬉しかったです!この場を借りて、改めてお礼を・・。
☆中村奈津子☆
そうそう(2回目)。わたしは、2日目の上映会に足を運んで、
刀川監督と、施設の創設者である菅原さんの
舞台挨拶を伺うことができました!
ミニシアターならではの、距離の近いところでの舞台挨拶は、
生の声の本音を聞くことができ、すごく、温かみがあって感激します。
クセになりそう・・・。